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時の話題
札幌ドーム:初の人工芝と天然芝の入れ替えを見学して(2003年)
2003年3月11日に札幌ドームで世界初となる人工芝と天然芝の入れ替え作業を見学した。
W杯の札幌開催が決定して以来、単なるサッカー場だけではなく、多目的施設として利用できる「札幌ドーム」の構想は世界に類をみない。可動式ピッチ(天然芝)はオランダに次いで2番目の方式であるが、雪深く寒さが厳しい北海道での人工芝と天然芝を入れかえる方式は世界初である。
日本では5つめの本格的な全天候型ドームであるが、屋内・屋外2つのアリーナを持つ「デュアルアリーナ」で構成され、2つのアリーナ間を行き来する「ホーバーリングサッカーステージ」は画期的なシステムである。まさに新しい巨大な船舶が進水するような光景を見て感激した。
昨年のW杯は開催が6月のため、芝の入れ替えは雪の融けた4月に行われた。
通常は天然芝をオープンアリーナの太陽の下で養生している。
そのために積雪期の芝の入れ替えは今回が初めてである。
この日は午前8時に作業開始。まず巨大な電気式の除雪車(幅約10m)のような人工芝を巻き取る機械3台が3分割された人工芝を直径約2mのローラーで巻き取っていく。巻き取った厚さ5㎝の芝は直径約3mに及ぶ。サッカー場の芝は縦120m、横85m、重さ8.300t(ジャンボジェット機の約8機分に相当)である。
2月上旬から約6mも天然芝の上に積もった雪の除雪作業が、ボランティアも含めたスタッフによって行われた。
人口芝の巻き取り後、天然芝のピッチの下に空気を送り込んで圧縮した空気圧を利用し、ホーバークラフトのように1/10の重さにして、格納されたジャンボ機の車輪と同様に屋外から屋内に移動する。
天然芝は「ホーバーリングステージ」と呼ばれる世界初の方式で圧縮させた空気圧で約7㎝浮上させ、電動式の車輪34個、3列を使って野外からドーム内に出し入れする。
天然芝の浮上や移動は横についているデスクトップ式のパソコンに似た操作盤で行っている。移動速度は時速約4m(人がゆっくり歩く程度の速さ)であるが、屋外ではややゆっくり、屋内では出入れする入り口の傍でみていたが、以外に速く感じられた。所用時間は約30分であった。
その後、出入り口のガラス入りのシャッターが左右から静かに移動し、中央で完全に密閉された。ついで左右の壁の間に格納されている観覧席がシャッターと同様に移動し、更に上にせり上がる。この移動と同時に屋内に移動した天然芝を約25分かけて時計回りに90度回転させた。その間、中で作業中の職員は10数名に過ぎない。
天然芝は11月以来、久しぶりにドーム内に姿を現わした。芝は一部茶色がかっているが、4月15日のコンサドーレ札幌と横浜FCとの試合まで養生される。
ちなみに施設本体の工費は350億円、取り付け道路や用地も含めた費用は537億円である。更に来年からホームグランドとなる「日ハム」の事務所も併設される。
サッカー、野球、種々の催し物やコンサートなど多目的施設の設置が札幌市の長年の夢であったという。札幌市周辺の年間の降雪量は、5m近くに達する。そのためドームが雪につぶされないよう、南北断面を飛行機の翼断面のような形にし、北風で吹き飛ばされないように設計された。収容人数は42,000千人。ピッチには、寒さの影響を減らすためにヒーターが埋め込まれてある。
ドームは平成10年6月から13年5月までの約3年間で完成した。
設計・監理はアトリエ・フアイ建築研究所・アトリエブンク特定共同企業体。
構造はRC+SRC+S造、階段は地下2階、地上4階、塔屋2階。
敷地面積は307.455㎡、建築面積は53.620㎡、延床面積91.073㎡、最高高さ(平均地盤面から)57m、サッカー練習場も2面ある。
芝の入れ替え作業時間は約6時間で、サッカーやプロ野球が2日続けて行われる場合にも夜間中に入れ替え作業が行われる。
主要用途はサッカー場、野球場、多目的観覧場などに利用され、また昨年から札幌国際スキーマラソンのスタート、ゴール地点となり、大勢の見物人で賑った。
また2007年にクロスカントリーW杯が白旗山を会場に開催されるが、選手の練習場として、大通6~8丁目とドーム内周囲(約5.5㎞)にコースを設置する予定である。
昨年秋にはトレーニングルームも併設された。最新のトレーニングマシンと専属のトレーナーが常駐し、個室のシャワー室もあり、私も週1~2回利用している。
駐車場(羊ヶ丘通り入り口)は2時間まで無料である。
ドーム本体であるクローズド・アリーナの利用料金はプロ野球やサッカーなどの観戦・鑑賞型イベントの場合、20,000人まで1人あたり800円が基本料金となっている。又大型イベント以外にも、冬期間を中心としたドームの空時間の活用として、草野球などの時間貸し利用料金は最高額が2時間で20,000円である。
利用料金は展望台ツアーが大人500円、トレーニングルームも500円である。
サッカーの練習場は1時間、2,400円、駐車場はプロ野球などの来場者集中型イベントの場合、1台2,500円、展示会などの分散型イベントの場合は2時間まで300円である。
市民の税金で作った施設でもあり、地下鉄福住駅から歩いて15分程度であり、多くの市民への利用を呼びかけている。
最後にドーム設置前よりお世話下さった職員の皆さん、特に古屋 永生氏に深く感謝申しあげます。
(2003年記)
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